プロジェクト概要
大田市による、大森町にある国の重要文化財(1998年5月1日指定)、旧熊谷家住宅の保存修理工事にあたり納材いたしました。
特に「台所」は修復ではなく復元となりましたので、巨大な地松の曲り材を中国山地より調達し、当時のままに製材いたしました。また柱にはクリを納材し、耐震性を高めるために新たに加えたヒノキの横架材も手配いたしました。その他、和室の磨丸太なども、ネットワークを活かして弊社が京都北山より調達しました。
全体的に家屋の損傷が激しく、2001年度から国や県の補助を受け保存修理工事に着手、母屋をはじめ衣装蔵や道具蔵など6棟を修理しています。残存している複数の絵図面を元に保存に向けた修理工事を開始し、2007年にオープンしました。修理の過程で主屋に石造りの地下蔵が確認され、当時の民家としては珍しい構造といえます。地下蔵は四畳間ほどの大きさで深さは約1.9メートル。非常時のとき、代官所のものを保管する場所と伝えられています。
この旧熊谷家は広大な屋敷地に建てられた総漆喰の建物で、主屋、付属屋とともに5つの蔵が建ち並び、大森では代官所に次ぐ由緒ある建造物です。古文書などによると、熊谷家は17世紀に石見銀山の鉱山経営を行い、18世紀初頭には掛屋(代官所の公金出納取扱)や代官所の御用商人を勤めていたと言われます。19世紀には町役人(年寄職)、江戸末期からは酒造業を営むなど町内では最も有数な商家のひとつとして栄えました。「寛政の大火」で消失し、現在の建物は大火以後(1800年代初頭)に再建されたものですが、堂々たる物で、丸みを帯びた土塀はとても珍しいものです。
施工 有限会社 藤井工務店様
クライアント名 | 重要文化財・熊谷家住宅 |
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ジャンル | 石見銀山 |