現在、流通されている人工乾燥材の多くは１２０℃の高温で表面を一気に固める高温乾燥によるもので、自然乾燥では難しい表面割れを防げる方法として広く採用されています。しかし、高温の時間を長くしたり乾燥温度を上げすぎると、材の内部が割れる「内部割れ」を引き起こす原因にもなります。杉については各研究機関などの研究結果が公表されておりますが、地松においても乾燥プログラムを作る根拠となる研究が必要であると考えます。

地松の乾燥について

「乾燥」は、木材において非常に重要なことです。乾燥材と未乾燥材では、当然乾燥材のほうが強度は大きく、狂いも少ないのです。木材は、この乾燥が不十分だと反りやねじれなどが生じるだけでなく菌害や虫害が発生するなど、利用する際に支障をきたしてしまいます。木材を提供するにあたって、材を十分に乾燥させることは、弊社の重要な役割であると考えています。

人工乾燥は、温度と湿度の調節が大切です。乾燥と一言に言っても、ただ早急に乾かせばよいというわけではなく、樹種や生育環境、季節等に応じて乾燥プロセスを適切に調整するといった乾燥技術が必要になります。乾燥の進展度を把握しながら微調整することで、木材の欠点を取り除き、より使いやすい材にすることが可能になるのです。乾燥機の中の温度と湿度は、樹種、厚さ、乾燥を始める前の含水量などによって欠点材を出さないように乾燥スケジュールを組合わせていきます。弊社では樹種や季節に応じて独自の乾燥スケジュールにより乾燥しています。

竹下木材の乾燥機は、製材で出る端材を燃料に使う木屑炊ボイラー併用型で環境保護にも一役買っています。

地松乾燥 実験結果

地松４ｍの平角を試験材にして、３パターンの乾燥方法で研究しました。

A自然乾燥
B高温セット（１２０℃）＋自然乾燥
C高温セット（１２０℃）＋中温乾燥
（以下、A：自然乾燥　B：高温セット＋自然乾燥　C：高温セット＋中温乾燥とする。）

（試験結果）
■曲がりとねじれの量は？
Cが７ｍｍ～５ｍｍと最も多く、AとBについては養生後でCの半分程度でした。
■表面割れは？
Aが断トツで面積が広く、次いでAの割れ面積の３分の１程度でBとCの順番でした。
■内部割れは？
Cが両幅８０ｃｍ位まで広く内部割れを確認しましたが、中央部は比較的抑えることが出来ました。Bについては、両端２０ｃｍ位までは若干の内部割れを確認しましたが、中央部は抑えることが出来ました。
■粘りは？
Cはかなりの油分が小口から抜けていました。

（考察）
よって、表面割れについては高温セットが有効に働きますが、長時間の高温乾燥と高すぎる温度が内部割れを引き起こす原因になり、また地松の大きな特徴である油分が抜けてしまうので粘りが損なわれる結果となりました。このような、研究結果や長年地松を扱ってきた経験から、温度を上げすぎない人工乾燥と自然乾燥を組み合わせた弊社独自の乾燥プログラムで、地松本来の色艶と粘りはそのままで内部割れも無い高品質な地松乾燥材をご提供しております。