京都北山の「本仕込み」
先週の土曜日は京都北山へ行って、伝統的な伐採方法であります「本仕込み」を見学してきました。
京都北山地区の北山丸太は、主に数寄屋建築や床柱などに使われる高級材で、京都北山の林業は600年の歴史があると言われています。
北山杉といえば下の写真の「台杉」が広く知られていますが、これは「取り木」と言われる台をつくり、そこから枝を垂直に伸ばして「立ち木」に仕立てて磨き丸太を作る技術で、山の面積が少ない京都北山で効率的に林業経営をしていくための技術の一つでもあります。
そして、山道を歩き「本仕込」の現場へ到着しました。
「本仕込」みとは、伐採した丸太を立ち木にかけて立たせたままの状態で皮を剥ぐ伐採方法です。
木の生長が止まっていない夏に行われ、木の上端に残した枝葉が水を吸い上げると同時に天日で木の表面を乾かす事で、色艶に優れ粘りがあり、割れにくい丸太が出来ます。
伐採前後の天候に大きく左右され、大変危険な作業でもありますので、現在では株式会社中源さんが抱える尾島組さんしかされていないそうですが、今年は天候にも恵まれて無事に「本仕込み」を見学する事が出来ました。
高さ10m以上もあるところで伐採した木を寄せ合う作業をしています。
普通の磨き丸太は伐採後に水圧の機械で皮を剥ぎますが、「本仕込み」は木に登りながらヘラで皮を剥ぎます。
チェンソーで伐採しているのが親方です。
伝統的な農法や生態系を受け継ぐ為に「世界農業遺産」というものがあり、世界11か国で19か所(本国内では2か所)の地域が登録されていますが、「世界林業遺産」というものがえれば、おそらく推薦されていると思います。
北山600年の伝統ある「本仕込み」を復活させた、株式会社中源さんと尾島組さん、素晴らしいものを見せていただきありがとうございました。